触る科学博物館“Think Square”

「科学博物館って見るだけでつまらない…!ケース越しじゃなくて触ってみたい!」って思ったことはないだろうか?筆者は多々ある。むしろ見るだけの科学博物館が飽きてしまって、足が遠のいてしまった。もちろん科学博物館自体が嫌いになった訳ではない。人間にはない骨格を持った生物の生態系を観察して、それぞれの生き物が持つ特徴に魅了されたことはある。例えば、鳥には重量を軽減するために穴の空いた含気骨という骨があり、その骨のおかげで鳥は優雅に空を飛べていることを知った時は、感銘を受けた。しかし、実際にその骨に触れないことが残念で、科学博物館にいかなくなってしまった…。

筆者の意見はこのくらいにしておこう。だか、筆者と同様に、実際に標本を触ってみたい!と、思っている読者の方もきっといるはずだ。そんな人にはぜひ知ってもらいたい。あなたの持つ科学博物館の固定概念が覆る科学博物館が誕生しようとしているのだ。それは、標本を360度から見ることができ、加えて実際に触れて体感することができることで一方的に見せられるのでなく、自らが参加することで体感から得られる知的好奇心を満たす科学博物館である。そんなあたらしいスタイルの科学博館「Think Square」が、その一歩を吉祥寺に刻もうとしている。

オーナーである山本さんはThink Square設立について、その動機を基礎科学が発展してほしいという思いにあると言う。山本さんは小学生の時から生き物に触れる機会が多く、高校生の時に観たクジラのドキュメンタリー映画でクジラの雄大さに感銘を受けた。それ以降、大学・大学院でクジラの解剖学・形態学を専攻し、社会人になってからも仕事の合間に研究を続けてきた。それらの学問は基礎研究と呼ばれ、研究の成果を短期的に出すことが難しい分野だとされている。そんな基礎研究の現状について山本さんは、「基礎研究は医療や製薬などの応用研究などとは異なり、現在の経済活動に結びつきにくいため、社会的理解や研究資金を調達するのが難しいのが現状です。現に社会と基礎研究の接点は博物館や大学での展示や発表などに限られています。基礎研究は継続して研究できる環境が重要です。そこで、まず第一歩として社会にその価値を訴求し、理解してもらうために、基礎研究の面白さや将来性を体感することで知的好奇心を満たしてもらい、充実感を感じてもらえる施設を作りたいと考えました。例えば、ドキュメンタリー系のTVでは生き物の不思議さに触れて感動する人がたくさんいるにも関わらず、一方で目先の経済原理だけで研究の必要性を判断されてしまう。それでは、今後、研究の発展性がなくなっていくと思います。」と、話していた。また、「自分で発見した時の喜びで知的好奇心が満たされて、社会が精神的に豊かになった時、科学に限らず社会全体に対して個人ではなし得ないことをやり遂げる原動力や機動力が生まれると思う。」と、語っていた。

 

今回の展示は日々の仕事で、趣味探しや、じっくりと物思いにふける時間が取りづらい30〜40代の方々をターゲットにしている。なので、そんな方々にも楽しんでもらえるように閉館時間が22時と、仕事帰りでも立ち寄れるように工夫されている。日々の忙しさから解き放たれて、展示物に触れて体感し、自分で発見したその特徴に、それにはどんな意味が込められているのかと考え、そこから生まれる気づきに満たされて充実感を味わってみてはいかがだろうか。実際に触れたことがきっかけで、あなたの趣味の幅が広がるかもしれない。

展示を予定している、ジュゴンの頭骨(レプリカ)とスジイルカの頭骨(実物)。

今回の展示のメインテーマはイルカである。人間と同じ哺乳類なのに水中を優雅に泳ぐあの姿は人間にはない特権だ。そんなイルカの骨格に触れていろいろなことを感じ取った先には、新たな気づきがあるかもしれない。生き物の持つ不思議さ、面白さを体感してみてはいかがだろうか。

主催者の山本さんは「バーチャルなコンテンツが増えている昨今ですが、研究成果に基づいた視点を加えた見方で実物に触れることでしか得られない体験があると考えています。その価値を多くの人に感じてもらいたいです。」と意気込んでいる。ぜひ、日程が合えば、仕事帰りにでも訪れてみてはいかがだろうか。

 

<イベント概要>

Think square Theme 0 Dolphin & aquatic life

会期:2017年7月24日(月)~29日(土)

開館時間:16:00~22:00 ※土曜日のみ10:00~22:00

場所:リベストプレイス吉祥寺

東京都武蔵野市吉祥寺南町2-4

イベントサイト:https://www.think-squares.com/theme-0