手紙とSNSの共存を目指す ”フリーペーパー「手紙暮らし」”

「手紙」と聞いて皆さんは何を思い浮かべるだろうか。幼少期に友達に書いた手紙、好きな人に宛てた手紙、新年のご挨拶に出す手紙、大切な人に向けた手紙、悲報を伝える手紙…。コミュニケーション手段としてSNSが普及している今、昔から人々が使って来た手段が「手紙」だ。今、手紙を書く習慣を大切にした方が良いという人が増える一方で手紙を書く習慣がある人が急減している。多くの人が手紙の魅力に気づいていながら、実際に手紙を書く機会がないのだ。今回はそんな時代に疑問を持ち、手紙の魅力をたくさんの世代に伝えようというフリーペーパー「手紙暮らし」を創刊した藤沢市に住む高校生、江森みずほさんにお話を伺った。


みずほさんは趣味で海外文通をしていた頃より、手紙というものに心惹かれていたといい、もっと多くの人に海外文通というものを趣味に持って欲しい、そして葉書や手紙を一つの手段として持っていて欲しいという想いでまずはお手紙専用Instagramを開設するという小さなことから始めたのだそうだ。転機は2017年の3月、フリーペーパーを作っている友人に巡り会ったことだった。ここからフリーペーパーという手紙と同じ紙媒体を通して独自の表現方法で手紙の魅力を伝える活動が本格的に始まった。さてここで、フリーペーパーについて一言触れておくと、フリーペーパーとは誰でも気軽に手に取ることができる小冊子のことだ。フリーペーパー「手紙暮らし」は全国のカフェやゲストハウス、雑貨店に置かれている。


第一号が発行されたのが同じ年の7月、つい最近のことである。先にも書いた通り、コミュニケーションルーツをSNSに依存している現代において、みずほさんが特に読んで欲しいと思っている世代がケータイのコミュニケーションで育った同年代、つまり高校生・大学生たちだ。みずほさんはこう語った。「手紙を書いたり送ったりはしたことがあるが、じゃあいざ手紙という手段を使おう、という風にならない。SNSやスマホが普及した今、それらを否定するのではなく逆にそれに便りすぎるのでもなく、それらと同様にあくまで一つの手段として手紙を取り入れる。大げさかもしれないが技術の発展とこれまでの歴史の融合、それこそが今あるべき姿なのではないだろうか。SNSの気軽でリアルタイムという魅 力に対し、相手が住んでいる国や地域の空気や実際に辿って来た道のり、文化を実物で紹介できる、時間に比例する重みなどを感じることができるのが手紙の魅力でもある」。年賀状もその一つだ。ここ最近、届く年賀状の量が年々減っているという方も少なくはないだろう。一方で筆者のように元旦に届くよう毎年12月25日までに書き上げる人もいる。普段手紙など書かない人には書く機会になるだろうし、手紙をやり取りしない人から手紙が届く機会にもなる。そういった非日常的な感覚を味わうこともできるのも魅力の一つだと思う。年賀状については第一号で少しお話ししているので是非読んでみると良いだろう。
フリーペーパー「手紙暮らし」の次号は今年の11月発行予定で、”実際に手紙という手段を実生活に取り入れるにはどうしたらいいか”というテーマで特集を組む予定だという。ここでその内容に触れることはできないが、みずほさんはこう語ってくれた。「急に手紙を書こうとしても、それまでまったく書かなかった人にとって”手紙を書く”ということはハードルが高いかもしれない。けれども旅行先から家族や友人、お土産を買う相手などにその土地で買った葉書をだしてみるのは手軽にできるし楽しいのではないか」。 1号目を発行してみずほさんは改めて気づいたことがあるという。「手紙には一つではなく本当にたくさんの形がある。文通などにこだわらず、360度の視点からこんなのもある、あんなのもあると言って読者の皆様と同じ視点で私たちも発見しながら発信できたらな、と思う」。
手紙の有り余る魅力に迫るフリーペーパー「手紙暮らし」。今だからこそ大切にしなければならない時間を、手紙という紙媒体を通して大切な人と共有しませんか。そんな願いが込められているような気がしてならない。