食を救え!〜食文化のサステナビリティに取り組むコークッキング〜

みなさんは食のサステナビリティについて、考えたことはあるだろうか。食文化における様々な問題は尽きることがなく日々増加している。また、コンビニエンスストアや冷凍食品などの登場で、それらが人間から料理をする行為自体を奪っている。そんな中で「人間らしく創造的なくらし」を実現するべく、それに必要な「場・仕組み・ツール」を利用者に提供する団体があるのをご存じだろうか。今回はその団体の代表である川越一磨さんにお話を伺った。
団体名はコークッキング。ここではプラットフォームとしてのキッチンの役割を再定義し、料理をあくまで手段として、創造的かつインクルーシブなイベント・企業研修・ワークショップなどを行っている。

事のきっかけは川越さんが学生時代にサークルや研究会などで意図的に料理の場を設けた結果、チームワークの向上につながったという経験をしたことだそうだ。そこから「これは何かしら世の中のためになる」と確信し、コークッキングではさまざまなチームに対して料理を介したコミュニケーションの場づくりをしている。

ここで少し、ワークショップの内容を紹介しよう。簡単に言えば、抽象的な言葉をもとに料理を発想するワークショップだ。暗黙知を言語化してアウトプットするというナレッジマネジメントの行程を、料理になぞって行うのである。それに伴って、コークッキングではパターン・ランゲージ制作事業というのも行っている。これは暗黙知を言語化する技術のことで、ワークショップの内容につながる事業となっている。

そしてコークッキングでは、別の新しい事業も始まるという。料理を使ったさまざまな華々しい体験や経験を提供する一方で、食分野のサステナビリティが脅かされていることに気付き、食の未来を創る活動、TABETEである。

ここでは外食中食事業者様のフードロスになる直前のものをユーザーがレスキューできるサービスを行っていて、欧米では「Too Good To Go」を始めとした様々な類似サービスが既に展開中で、日本でもフードレスキューのムーブメントを作るべく、立ち上げたという。現在β版リリース準備中とのことで、正確な事前登録者数については伏せ字だが、9月上旬から末まで行うクローズドβ版では、800~1000人規模で試験運用できればとのことだ。

川越さんが食のサステナビリティについて考えるようになったのは、スローフード運動との出会いがきっかけだ。彼と共同創業者の伊作さんは、2016年のはじめにスローフード活動をしているメンバーに出会い、その年の5月に活動のコアメンバーに加入。その活動のメインが「ディスコスープ」という、食料廃棄問題の啓発活動であり、川越さん自身も飲食店での経験が長かったために食料廃棄問題に対して切実感があったのだとか。そんな経緯があったため、その活動に躊躇なく参加したという。「様々なことを学んでいくうちに、食料廃棄問題は様々な環境負荷をかけていること、食料不均衡、フードマイレージなど、多くの問題と密接に関わっていることを知りました。その中で、自分が問題解決に向けてどう動けるかを考えるようになりました」。
こうしてスタートしたTABETE事業の立ち上げに伴い、現在法人向けに行っていたワークショップの活動を一時休止しているそうだ。東京の社内キッチンやレンタルキッチンスペース、ホテルの宴会場など様々な場所でワークショップを行ってきたが、本社が山梨にあり、そこで合宿のような形式でワークショップをやりたいという声も多数上がっている。また東京近郊での起爆、関西地方への進出の先を見据え、企業誘致や税制面など立ち上げ始めのベンチャーには良い環境が整っているというシンガポールへの進出も目指しているという。ワークショップでは企業や団体さんのそれぞれの個性のニーズをいかに吸い上げられるか工夫していきたい、と語る川越さん。食分野の問題解決に向けても語ってくれた。「食分野の問題解決には、消費者の消費行動変革が必須です。世界レベルでの行動目標はSDGsに記載されており、団体レベルだと法人企業は少しずつCSRも含めて活動するようになってきました。最後は消費者個人です。よって私たちは食分野に限らず、様々なサステナビリティを考える世間的な風潮(ムーブメント)を作っていかなくてはならないと考えています」。そのムーブメントを作るための第一歩として、コークッキングやTABETE事業は存在するのである。